が行儀の悪いものはそうは行きません。ばた/\と扇いで立ってひょいと蚊帳をまくって這入りますから蚊が飛込んでいけません。蚊帳の中に這入りましても蒲団の上に乗りませんで蚊帳の側にぴったり坐って居ります。
文「此方《こっち》へ来なさい、縁あってお前は私《わし》の処に嫁に来ようというは実におもいきや、今日《こんにち》三々九度の盃をすれば生涯《しょうがい》死水《しにみず》を取合う深い縁、お前は来たばかりであるが少し申し聞けることがある、浪島の家風がある、家風は背きはしまい」
町「恐入りますことを御意遊ばす、私《わたくし》は元より嫁に参りたいと願いました訳ではございません、御膳炊きに参りましたのでございます、親一人子一人の其の父が亡くなりまして、別に頼るべき親族もございませず、何処《どこ》へか奉公に参りましょうと思いましても、不束《ふつゝか》もの逐出されても行《ゆ》き処がございません、心細う思うて居りました、旦那様へ御奉公に参ればお情深い旦那さま、見捨《みすて》ては下さるまい、御膳炊きにでもと思うて居りましたに、思い掛なくお盃を下さいまして冥加に余りましたことでございます、何ごともお辞《ことば
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