んで、親類もなく、何処《どこ》へ往っても置いてくれまい、旦那には御鴻恩《ごこうおん》になってお慈悲深いから、旦那の処へ御膳炊きに来たいと云います、処が惜しいのです、本所中一番という娘です、処で親孝行娘というものですが如何でございます」
藤「成程、そんなら文治郎殿から聞いた、孝心の娘があって雪中《せっちゅう》に凍えて居《い》るのを救って、金をやったが受けぬ、今の世の中には珍らしいと云って賞《ほ》めた娘だろう、それは幸いだ」
國「親里《おやざと》を拵えれば大家《おおや》でも頼むのでございますが、旦那が親になって上げてはいかゞです」
藤「宜《よ》うございます、叔母に話をしましょう」
と、これから文治郎の母に話すと、かねて文治郎から聞いているから、何しろ一《ひ》と目見たいと云いますから、そんならばと云うので娘に話し、損料を借りて来る、湯に往って化粧《おしまい》をする、漸く出来上った。
浪「ちょいと/\お嬢さんの支度が出来たのを御覧よ、こんな美くしいお嬢さんを竈《へッつい》の前に燻《くす》ぶらして置いたと思うと勿体ない」
國「どう/\、これはどうも、こんな美くしい嬢さんを、どうもお屋
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