、もう一杯《いっぺい》大きいので、もう一杯《いっぺえ》という、悔しいや彼《あ》ん畜生|敵《かな》わねえ、滅法やった、いゝ心持だ」
とぐず/\独語《ひとりごと》を云う中《うち》に居眠りが長じて鼾《いびき》になりました。スヤリ/\と寝付いている。その前を小野庄左衞門笠を冠《かぶ》り杖で拾い道をして来るが、感が悪いゆえに勝手が少々もわからぬ。二番河岸から蟠龍軒が上って、新刀《あらみ》を抜放し、やり過《すご》した小野庄左衞門の後《うしろ》からプツーリッと剣客先生が斬りますと、右の肩から胴の処まで斬り込み、臀餅《しりもち》をついたが、小野庄左衞門、残念と思いまして脇差に手を掛けたばかり、ウーンと云う処へ、プツーリッと復《ま》た一と刀《かたな》あびせ、胸元へ留《とゞ》めを差して、庄左衞門の着物で血《のり》を拭《ぬぐ》って鞘へ納め、小野庄左衞門の懐へ手を入れて見ましたが何もございません、夜陰《やいん》でございますが金目貫《きんめぬき》が光りますから抜いて見ると、彦四郎《ひこしろう》貞宗《さだむね》。
蟠「なか/\良さそうだ」
と云いながらそれを差しまして後《あと》へ下《さが》る時、鼻の先でプツ
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