《てのひら》を見ると真赤に血《のり》が染《そ》みましたから、此奴《こやつ》不埓至極な奴、文治郎の面部へ疵を付けるのみならず、重々《じゅう/\》の悪口雑言《あっこうぞうごん》、斯《かゝ》る悪人を助けおかば旗下《はたもと》の次三男をして共に大伴の悪事に染《し》みて、非道の行いを見習わせれば実に天下の御為《おんため》にならぬ、捨置きがたき奴、此の兄弟は文治郎|此処《こゝ》に於《おい》てずた/\に斬り殺し、悪人の臓腑《ぞうふ》を引出して遣《や》ろうと、虎も引裂《ひっさ》く気性の文治郎、耐《こら》え兼て次の間にあります一刀に目を付けるという、これからが喧嘩になります。

  十三

 申続《もうしつゞ》きましたる浪島文治郎は、大伴蟠龍軒と掛合になり、只管《ひたすら》柔かに下から縋《すが》って掛合ますると、向うは元より文治郎が来たらば嬲《なぶ》って恥辱を与えて返そうと企《たく》んで居《お》る処でございますから、悪口《あっこう》のみならず盃を取って文治郎の額《ひたえ》に投付けましたから、眉間《みけん》へ三日月|形《なり》の傷が出来、ポタリ/\と染め帷子へ血の落ちるのを見ますると、真赤になり、常は虎も
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