へ金の抵当《かた》に置いた、今私が遣るの遣らぬのと云えばお前は咽喉を締めもするだろう、弱い婆《ばゞ》ばかりなれば締めるだろうが、此処《こゝ》では締められまい、さア締めるなれば締めて見ろ、遣らぬと云ったら遣らぬ、締めるとも殺すともどうでもしなせえ」
 文「それはお母《っかあ》、遣る遣らぬは後《あと》の話、お前に相談するのではない、先生との話だからそれは後の話にして下さい」
 蟠「控えて居《お》れ、遣る遣らぬは当人同士の話にするが宜《よ》い、私《わし》は私《わし》で文治郎殿と話をする、のう文治郎殿、さアお返し申すと云ったら一時《いっとき》も待たぬ、速《すみや》かに返す、其の代り友之助の借りた金は掛合人のお前が償って返すだろうね」
 文「昨日友之助が百金返金になって居ります筈で」
 蟠「百両ではありません三百両です、これ証文箱を出せ……これに書いてある此の証文を御覧《ごろう》じろ、此の通り書いたものが物を云う、三百両と書いてありましょう」
 文「少々拝見致します」
 と文治郎は手に取って見ると、成程友之助の云う通り金の字と百の字との間に無理に押込んだ三の字が平ったくなっている、不届至極の奴と
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