贔屓《ごひいき》を戴き先月御当家様で金子百両借用致して、其の証文|表《おもて》に金子滞る時は女房お村を妾に差上げると云うことが書いてあり、金子の返金滞ったによって女房お村をお取上《とりあげ》になってお返しがない、それ故に驚き、金子才覚して持って参りました所が、金子もお村もお取上で、お返しならぬ上御打擲になり、剰《あまつさ》え御門弟|衆《しゅ》が髻《もとゞり》を取って門外へ引出し、打ち打擲して割下水へ倒《さか》さまに投入《なげい》れられ、半死半生にされても此方《こっち》は町人、相手は剣術の先生で手向いは出来ず、如何《いか》にも残念だから入水《じゅすい》してお村を取殺《とりころ》すなどと狂気《きちがい》じみたことを申し……それはまア怪《け》しからぬこと、音に聞えたる大伴の先生故、町人を打ち打擲などをすることはない筈《はず》、又女房を金の抵当《かた》に取るなどと端《はした》ないことはなさる筈がない、そんなことは下々《しも/″\》ですること、先生はよもや御得心のことではあるまい、何か頓と分りませんから、一応先生に承わって当人へ篤《とく》と意見を申し聞かせまする了簡で罷り出ました、えい友之助の悪
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