の未練で思い切れねえから、思い切って云って仕舞えったら云って仕舞いなよ、こんな意気地《いくじ》なしの腰抜にくっついていたって仕様がねえ、食えなくならア、判然と云いなよ、縁を切って仕舞いなよ」
 村「あの友さん、私はね今度と云う今度はお母《っかあ》の云う通り呆れたよ、お前も新店のことだから是だけ代物《しろもの》を仕入れなければならない、土蔵も建てなければならぬとか、店の造作《ぞうさく》するに金が入るとかの為に少しの間女郎になれとか、抵当《かた》に書入れるとか云うなれば、夫婦相談で出来まいものでもないけれども、私は本当に呆れたよ、私に話もしないで此方様《こちらさま》へ書入れにして金を借《かり》るとは余《あんま》りではないか、お前のような不人情な人に附いていても、どんな目に逢うか知れないから、何卒《どうぞ》夫婦の縁は是れ切《ぎ》りにしておくんなさい、私ばかりが女じゃアない、世界には幾らも女があるから、賭博《ばくち》をする時書入れられても宜《い》いと云う様な、お前に惚れている人を女房にお持ち、私はお前に愛想《あいそ》が尽きて嫌《いや》だから、これから夫婦の縁はお母《っかあ》のいる前で切っておく
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