友之助には云うだけの事は申しますから、はい……己《おれ》が云うことを能く聞け」
とお村の前へ進み出まして、友之助を捕まえ悪口《あっこう》を云う、これが大間違いになります初めでございます。
十二
慾深き人の心と降る雪は積るにつけて道を遺《わす》るゝと云う、慾の世の中、慾の為には夫婦の間中《あいなか》も道を違えます人心《ひとごゝろ》で、其の中にも亦《また》強慾《ごうよく》と云うのがございます。大慾は無慾に似たりと云って余り慾張り過ぎまして身を果《はた》す様なる事が間々《まゝ》ございます。お村のお母《ふくろ》などは強慾に輪をかけましたので、実に慾の国から慾を弘めに来たと云う、慾の学校でも出来ますれば教師にも成ろうと云う強慾張《ごうよくばり》で、筋と肉の間へ慾がからんで慾で肥《ふと》る慾肥りと云うのは間々あります。頭の真中《まんなか》が河童《かっぱ》の臀《しり》のように禿《は》げて居ります、若い中《うち》ちと泥水を飲んだと見えて、大伴蟠龍軒の襟《えり》に附きまして友之助の前へ憎々しく出て来まして、
崎「おい友之助、お前は本当に酷《ひど》い人だのう、私の只《たっ》た一人の娘を強《た
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