の御老母とあなたの為に文治郎命を捨てゝ致しました、あなたは毎日田原町へお内職においでになって御存じあるまいが、あなたのお留守中に御家内が御老母を打ち打擲するのみならず、此の程は食《しょく》を上げないことを御承知はあるまいがな」
 喜「黙れ、仮令《たとえ》何様《なによう》なる事があろうとお前方の指図は受けん、悪い事があれば私《わし》の家内だから私《わし》が手打に致そうと捻《ねじ》り首にしようと私《わし》がする、何《なん》で私《わし》に断らんでなすった」
 文「まア/\、それは至極|御尤《ごもっと》もの話で、文治郎も気狂いでないから貴方に断らんでする訳はないが、此の程は御老母にとんと食《しょく》を与えぬので、御老母は餓死なさるより外《ほか》に仕方がない、貴方がお宅へ帰って見れば御老母が食べ過ぎて困ると云って親子の間中《あいなか》を裂くようにするから、御老母は堪えかねて、喜代之助はそれ程ではないが、倶《とも》に私《わし》を酷《ひど》く扱い折檻するゆえ、此の上は死ぬより外はないと仰しゃるのを聞いて、長家中の者がお気の毒に思い、折々《おり/\》食物《たべもの》を進ぜました、今日《こんにち》も納豆
前へ 次へ
全321ページ中174ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング