が、怒《いかり》満面にあらわれて身の毛のよだつ程怖い顔になりました。
 文「姦婦助けは置かん」
 と云いながらツカ/\と立って表の戸を締めたから、
 あ「アレー」
 と云って逃げようとするおあさの髻《たぶさ》を取って、二畳の座敷へ引摺《ひきず》り込み、隔《へだて》の襖《ふすま》を閉《た》てましたが、これから如何《いかゞ》なりましょうか、次回《つぎ》に述べます。

  九

 文治は突然《いきなり》おあさの髻《たぶさ》を取って二畳の座敷へ引摺り込み、此の口で不孝を哮《ほざ》いたか、と云いながら口を引裂《ひっさ》き肋骨《あばらぼね》を打折《ぶちお》り酷《ひど》い事をしました。暫《しばら》くすると障子を開け、顔色を変えて出て参り、老母の前に手をついて、
 文「お母《っか》さま、あなたの禍《わざわい》は文治郎が只今断ちました、喜代之助殿お帰りがあったら、文治郎が参って御家内を手込みに殺しましたと左様お仰《っし》ゃって下さい、嘸《さぞ》貴方《あなた》は御残念でございましたろう、早く御全快になって些《ち》とお遊びに入っしゃい、左様なら」
 と云って帰ったから、母親は驚いている処へ藤原喜代之助が帰っ
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