」
あ「あら髪なんぞを結って来るんだものを」
森「なアに家《うち》を出る時髪を結って来ると云って出ねえと極りが悪いから」
あ「気にも入るまいが色か何かの積りで緩《ゆっ》くり飲んでおくれな」
森「大層お肴がありやすねえ」
あ「さアお喫《あが》りよ」
森「戴きやす、御新造《ごしんぞ》のお酌で酒を飲むなんて勿体《もってえ》ねえことです、えーどうも旨いねえ」
あ「ちょいと種々《いろ/\》森さんのお世話になり、買物をするにも勝手が知れないから聞くと、私が買って上げようと云ってお世話になるから、何か買って上げようと思ったが、宅《うち》へ知れると年寄に訝《おか》しく思われるから思うようにいけないが、これは少しだがお前さんに上げるから」
森「こんな事をなすっちゃアいけませんよ」
あ「ちょいと私が、お前さんに袷《あわせ》の表を上げたいと思って持って来たよ、じゃがらっぽいがねえ銘仙《めいせん》だよ、ぼつ/\して穢《きたな》らしいけれども着ておくれでないか」
森「戴く物は夏もお小袖と云うから結構でござえやす」
あ「斯うしよう、お前の着物の寸法を書いておよこし、良人《うち》の留守の時縫っ
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