ん》な荒々しい奴が話をしては、お驚きなさるといけないから、角《かど》の立花屋《たちばなや》へ連《つれ》って往って、酒肴《さけさかな》を出して待遇《もてな》してくれ、己が後《あと》からお暇を戴いて往《ゆ》くから」
 森「へー」
 と云って森松は亥太郎を連れて立花屋へ参り、酒肴を誂《あつら》え待っている所へ文治郎が参りまして、
 文「さア此方《こちら》へ/\」
 亥「誠にどうも旦那面目|次第《しでえ》もございません、去年の暮は喰《くれ》え酔って夢中になったものだから、お前《めえ》さんに理不尽なことを云いかけて嘸《さぞ》お腹立でござえやしょう、御勘弁なすって下せえ」
 文「どう致して、先《ま》ず目出度《めでたく》御出牢で御祝《ごしゅく》し申す、どうしても気性だけあって達者でお目出たい」
 亥「へーどうも」
 文「先刻は又お土産を有難うございます」
 亥「いや最《も》う何《ど》うも、誠につまらねえ品でござえやすが、本所にはいゝ酒がねえと思って豐島屋のを一本持って来て、旦那に詫をして盃を貰《もれ》えてえと思って来ました」
 文「私《わし》も衆人《しゅうじん》と附合うが、お前のような強い人に出会っ
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