え/\」
 と引出して、今ではありませんが浅草見附《あさくさみつけ》の石垣《いしがき》の処へ連れて来て、
 森「兄い々々腹ア立っちゃアいけねえ、彼処《あすこ》でごた/\しちゃア外聞《げいぶん》が悪いやア」
 亥「おいよ、有難《ありがて》え、己は弱い者いじめは嫌いだが食逃と云ったから撲ったのだ、商売の妨げをして済まねえが後《あと》で訳を付ける積りだ、お前《めえ》誰だっけ」
 森「己は本所の番場の森松よ」
 亥「そうか、本所の人か、己《おら》ア又豊島町の若《わけ》い衆《しゅ》かと思った、見ず知らずの人に厄介《やっかい》になっちゃア済まねえ」
 森「これサ、銭があるのねえのと外聞《げいぶん》が悪いじゃアねえか、銭がなけりゃア己が払ってやるから後《あと》に構わず往って仕舞いねえ」
 亥「なに、銭がなけりゃア払って置くと、何《な》んだこれ、知りもしねえ奴に銭を払って貰うような亥太郎と思ってやアがるか」
 森「おや生意気な事を云うな、銭がねえってから己が払ってやろうってんだ、何《なん》でえ」
 亥「なに此の野郎め」
 と力に任せてポーンと森松の横面《よこっつら》を打《ぶ》ちましたから、森松はひょろ
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