話にいたしまして、さて文治はお村を助けました翌日、友之助の主人芝口三丁目の紀伊國屋|善右衞門《ぜんえもん》の所へ参り、友之助は柳橋の芸者お村と云うものに馴染み、主人の金を遣《つか》い込み、申訳がないから切羽詰って、牛屋の雁木からお村と心中するところを、計らずも私《わし》が通り掛って助けたが、何処までもお前さんが喧《やか》ましく云えば、水の出花の若い両人《ふたり》、復《ま》た駈出して身を投げるかも計られないから、何《ど》うか私《わし》に面じて勘弁してくれまいか、そうすれば思い合った二人が仲へ私《わし》が入り、媒妁《なこうど》となって夫婦にして末永く添遂《そいと》げさせてやりたいから、と事を分けて話しました処が、紀の善も有難うございます、左様|仰《おっし》ゃって下さるなら遣い込の金子は、当人が見世を出し繁昌の後少々|宛《ずつ》追々に入金すれば宜しい、併《しか》し暖簾《のれん》はやる事は出来ないが、貴方《あなた》が仰しゃるなら此の紀伊國屋の暖簾も上げましょう、代物《しろもの》も貸してやりますが、当人の出入《でいり》は外《ほか》の奉公人に対して出来ませんから止める。と事を分けての話に文治も大《
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