たものを、そんなら死になさいとは云われないから、種々《いろ/\》異見をして死ぬ事を止めたのだが、お前さんが助かって来ればこんな目出たいことはない、元々二人とも夫婦になれば宜《い》いのでしょう、私《わし》が惚れてゞもいると思われちゃア困りますが、家《うち》の一軒も持たせる工夫をして上げましょう、そうしたらお前さんの疑《うたぐ》りも晴れましょう」
友「へー、それはどうも有がとうございます、此の方《かた》は本所の剣術の先生かえ」
村「いゝえ何処《どこ》の方か初めての方が、実に親切に介抱をして下すったから、お礼を云うのを彼様《あんな》悪たいをついて済まないじゃないか、謝まっておくんなさい」
友「誠に私《わたくし》があやまった、誠にどうも相済みません、私《わたくし》は取上《とりのぼ》せていて貴所方《あなたがた》はお村の身請《みうけ》をするお客と存じまして、とんでもない事を申しましたが、どうか御勘弁を願います、貴方は何方《どちら》の方でございます」
文「私も取紛《とりまぎ》れてお近付きになりませんが、私は浪島文治と云う浪人でございます、不思議な御縁で今晩お目に懸りました、どうか幾久しゅう」
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