いふ此頃《このごろ》新築《しんちく》をした立派《りつぱ》な家《うち》で、此処《こゝ》は御案内《ごあんない》の通《とほ》り古器物《こきぶつ》骨董《こつとう》書画類《しよぐわるゐ》を商《あきな》ふ方《かた》で中々《なか/\》面白《おもしろ》い人でございます。何《ど》うも諸方《しよはう》から頼《たの》まれたと見えまして、大分《だいぶ》に宜《よ》いお客様もございます。西京《さいきやう》大坂《おほさか》の芸妓《げいこ》も参《まゐ》つて居《を》りましたが、皆《みな》丸髷《まるまげ》で黒縮緬《くろちりめん》の羽織《はおり》へ一寸《ちよつと》黒紗《くろしや》の切《き》れを縫《ぬ》ひつけて居《を》りまして、其《そ》の様子《やうす》は奥様然《おくさまぜん》とした拵《こし》らへで、皆《みな》其処《そこ》に寄り集まつてお通《とほ》りの時刻《じこく》を待《ま》つて居《を》りますので、其《そ》の中《うち》に五《ご》もく鮨《ずし》が出たり種々《しゆ/″\》御馳走《ごちそう》が出《で》ます中《うち》にチヨン/\と拍子木《ひやうしぎ》を打つて参《まゐ》りました。何《なん》だらうと思つて直《すぐ》に飛出《とびだ》して格子
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