《つまさきあが》りに上《あが》つて参《まゐ》りますると、少し広《ひろ》い処《ところ》がございまして、其処《そこ》に新築《しんちく》になりました、十四五|間《けん》もある建家《たていへ》がございました。是《これ》は此《こ》の時のお掛《かゝ》りの方々《かた/″\》のお詰所《つめしよ》と見えまして、此所《こゝ》で御拝《ぎよはい》があるといふことを承《うけた》まはりました。実《じつ》に此度《このたび》の大喪使長官様《たいさうしちやうくわんさま》といふのは、夜《よる》もトロ/\睡《まど》ろみたまふ事もございませんといふ、大層《たいそう》御丁寧《ごていねい》に仰《おつ》しやいますから、私《わたくし》どもには些《ち》と舌《した》が廻《まは》らなくつて云《い》ひにくいくらゐで、御参列《ごさんれつ》のお役人《やくにん》も此《こ》の処《ところ》で御参拝《ごさんぱい》があるといふ事で、夫《それ》を思ふと私共《わたくしども》は有難《ありがた》い事で、お供《とも》をいたして参《まゐ》りましても毎日々々|旨《うま》い物《もの》を御馳走《ごちそう》になつて、昼《ひる》も風が吹くと外へ出られんといふので、炬燵《こたつ
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