私共《わたしども》は先年《せんねん》戦争《せんさう》の時などは、支那《しな》の恐《おそ》ろしい道の悪い処《ところ》へ行《い》きまして木石《ぼくせき》を積《つ》んで運《はこ》びますのが、中々《なかなか》骨の折れた事で容易《ようい》ではございません、勿論《もちろん》牛は力のあるのが性質《うまれつき》故《ゆゑ》、詰《つま》りは国《くに》の為《た》めだから仕方《しかた》がございませんが、それに引換《ひきか》へて貴方《あなた》は結構《けつこう》でございますねエ。「ヘエ。「同じ牛でもどうも、五|位《ゐ》の位《くらゐ》が附《つ》いたといふ事を聞きましたが全《まつ》たくでございますか。「ヘエ……そんなに賞《ほ》めてお呉《く》んなさるな、畜生《ちくしやう》の身《み》の上《うへ》で位《くらゐ》など貰《もら》ひましたから、果報焼《くわはうや》けで、此様《こん》な塩梅《あんばい》に身体《からだ》が悪くなつて、牛のくらゐ[#「くらゐ」に白丸傍点]倒《だふ》れとは此事《このこと》で、毎日々々|黒胡麻《くろごま》ばかり食《く》はせられて、食《た》べ附《つけ》ない旨《うま》い物《もの》だからつい食《た》べ過ぎてすつか
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