《ま》ず自分の家《うち》へ帰り、小さくなって寝てしまい、夜《よ》の明けるのを待兼《まちかね》て白翁堂の宅《うち》へやって参り、
伴「先生々々」
勇「誰だのウ」
伴「伴藏でごぜえやす」
勇「なんだのウ」
伴「先生|一寸《ちょっと》こゝを明けて下さい」
勇「大層早く起きたのウ、お前《めえ》には珍らしい早起《はやおき》だ、待て/\今明けてやる」
と掛鐶《かきがね》を外《はず》し明けてやる。
伴「大層|真暗《まっくら》ですねえ」
勇「まだ夜《よ》が明けきらねえからだ、それに己《おれ》は行灯《あんどう》を消して寝るからな」
伴「先生静かにおしなせえ」
勇「手前《てめえ》が慌《あわ》てゝいるのだ、なんだ何しに来た」
伴「先生萩原さまは大変ですよ」
勇「何《ど》うかしたか」
伴「何うかしたかの何《なん》のという騒ぎじゃございやせん、私《わっち》も先生も斯《こ》うやって萩原様の地面|内《うち》に孫店《まごだな》を借りて、お互いに住《すま》っており、其の内でも私は尚《な》お萩原様の家来同様に畑をうなったり庭を掃いたり、使い早間《はやま》もして、嚊《かゝあ》は洒《すゝ》ぎ洗濯をしておるから、店賃《たなち
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