\》しく、
露「アノ新三郎様、私《わたくし》が若《も》し親に勘当されましたらば、米と両人をお宅《うち》へ置いて下さいますかえ」
新「引取《ひきと》りますとも、貴方《あなた》が勘当されゝば私は仕合《しあわ》せですが、一人娘ですから御勘当なさる気遣《きづか》いはありません、却《かえ》って後《あと》で生木《なまき》を割《さ》かれるような事がなければ宜《い》いと思って私は苦労でなりませんよ」
露「私《わたくし》は貴方より外《ほか》に夫《おっと》はないと存じておりますから、仮令《たとい》此の事がお父《とっ》さまに知れて手打《てうち》に成りましても、貴方の事は思い切れません、お見捨てなさるときゝませんよ」
 と膝に凭《もた》れ掛りて[#「凭《もた》れ掛りて」は底本では「恁《もた》れ掛りて」]睦《むつ》ましく話をするは、余《よっ》ぽど惚《ほ》れている様子だから。
伴「これは妙な女だ、あそばせ言葉で、どんな女かよく見てやろう」
 と差し覗《のぞ》いてハッとばかりに驚き、
「化物《ばけもの》だ/\」
 と云いながら真青《まっさお》になって夢中で逃出《にげだ》し、白翁堂勇齋の処《ところ》へ往《ゆ》こうと思
前へ 次へ
全308ページ中63ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング