お國が十一の時から世話になりましたから実の子も同じ事、お前は離縁をして黒川の家《いえ》へ置いて来た縁のない孝助だから、両人《ふたり》を手引をして逃がしました、それは全く私がしたに違いないから、お前は敵《かたき》の縁に繋《つな》がる私を殺し、お國源次郎の後《あと》を追掛けて勝手に敵をお討ちなさい」
 と云われ孝助は呆れて、
孝「えゝお母様、それは何ゆえ縁が切れたと仰しゃいます、成程親は乱酒でございますから、あなたも愛想《あいそ》が尽きて、私の四ツの時に置いてお出《で》になった位ですから、よく/\の事で、お怨み申しませんが、私《わたくし》は縁は切れても血統《ちすじ》は切れない実のお母さま、私は物心が付きましてお母様はお達者か、御無事でおいでかと案じてばかりおりました所、此度《こんど》図《はか》らずお目にかゝりましたのは日頃|神信心《かみしんじん》をしたお蔭だ、殊《こと》にあなたがお手引をなすって、お國源次郎を討たせて下さると仰しゃッたから、此の上もない有難いことと喜んでおりました、それを今晩になってお前には縁がない、越後屋に縁がある、あかの他人に手引をする縁がないと仰しゃるはお情ない、左様
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