った時は、手前《てめえ》がな十一の時だが、意地がわるくてお父様とお母様と己との合中《あいなか》をつゝき、何分家が揉めて困るから、己がお父《やじ》さんに勧めて他人の中を見せなければいけませんが、近い所だと駈出して帰って来ますから、いっそ江戸へ奉公に出した方が宜かろうと云って、江戸の屋敷奉公に出した所が、善事《いゝこと》は覚えねえで、密夫《いろおとこ》をこしらえてお屋敷を遁《に》げ出すのみならず、御主人様を殺し、金を盗みしというは呆れ果てゝ物が云われぬ、お母様が並の人ならば、知らぬふりをしておいでなすッたら、今夜孝助様に斬殺《きりころ》されるのも心がら、天罰で手前達《てめえたち》は当然《あたりまえ》だが、坊主が憎けりゃ袈裟までの譬《たとえ》で、此奴《こいつ》も敵《かたき》の片割《かたわれ》と己までも殺される事を仕出来《しでか》すというは、不孝不義の犬畜生め、只《たった》一人の兄妹《きょうだい》なり、殊《こと》にゃア女の事だから、此の兄の死水《しにみず》も手前《てまえ》が取るのが当前《あたりまえ》だのに、何の因果で此様《こんな》悪婦《あくとう》が出来たろう、お父様《やじさま》も正直なお方、私
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