げておいでだろうがな」
 と云われて二人は顔色変え、
國「おやまア恟《びっく》りします、お母様《かゝさま》何をおっしゃいます、誰が其の様な事を云いましたか、少しも身に覚えのない事を云いかけられ、本当に恟り致しますわ」
母「いえ/\いくら隠してもいけないよ、私の方にはちゃんと証拠がある事だから、隠さずに云っておしまい」
國「そんな事を誰が申しましたろうねえ源さま」
 と云えば、源次郎|落着《おちつき》ながら、
源「誠に怪《け》しからん事です。お母様もし外《ほか》の事とは違います、手前も宮野邊源次郎、何ゆえお隣の伯父を殺し、有金|衣類《いるい》を盗みしなどゝ何者がさような事を申しました、毛頭覚えはございません」
母「いや/\そうおっしゃいますが、私は江戸へ参り、不思議と久し振りで逢いました者が有って、其の者から承わりました」
源「フウ、シテ何者でございますか」
母「はい、飯島様のお屋敷でお草履取を勤めて居りました、孝助と申す者でなア」
源「ムヽ孝助、彼奴《あいつ》は不届至極な奴で」
國「アラ彼奴はマア憎い奴で、御主人様のお金を百両盗みました位の者ですから、どんな拵《こしら》え事をしたか知れ
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