対しても置かれた義理ではございません、憎い奴でございますが、強《しい》て縋《すが》り付いて参り、私故にお隣屋敷の源次郎さんが勘当をされたと申しますから、義理でよんどころなく置きましたものゝ、嘸《さぞ》あなたはお厭《いや》でございましょう」
母「私はお國に逢って緩《ゆっ》くり話がしたいから、用もあるだろうが、いつもより少々店を早くひけにして、寝かしておくれ、私は四畳半へ行って國や源さんに話があるのだが、是でお酒やお肴を」
五「およし遊ばせ」
母「いや、そうでない、何も買って来ないから是非上げておくれよ」
五「はい/\」
 と気の毒そうに承知して、五郎三郎は母の云付けなれば酒肴《さけさかな》を誂《あつら》え、四畳半の小間へ入れ、店の奉公人も早く寝かしてしまい、母は四畳半の小座敷に来たりて内にはいれば、
國「おや、お母様《はゝさま》、大層早くお帰り遊ばしました、私《わたくし》は未《ま》だめったにお帰りにはなりますまいと思い、屹度《きっと》一ト月位は大丈夫お帰りにはならないとお噂ばかりして居りました、大層お早く、本当に恟《びっく》り致しました」
源「只今はお土産として御酒肴《ごしゅこう》を沢山
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