逢いませんといえば、急度《きっと》逢っていると又争いになりました」
相「あゝ、こりゃからッぺた誠に下手だが、そう当る訳のものではない、それには白翁堂も恥をかいたろう、お前と其の女と二人で取って押えてやったか、それから何うした」
孝「さア余り不思議な事で、私《わたし》も心にそれと思い当る事もありますから、其の女にはおりゑ様と仰しゃいませんかと尋ねました所が、それが全く私《わたくし》の母でございまして、先でも驚きました」
相「ハヽア其の占《うらない》は名人だね、驚いたねえ、成程、フム」
 是より孝助はお國源次郎両人の手懸りが知れた事から、母と諜《しめ》し合わせた一伍一什《いちぶしじゅう》を物語りますると、相川も驚きもいたし、又悦び、誠に天から授かった事なれば、速《すみやか》に明日《あす》の朝遅れぬように出立して、目出度く本懐を遂げて参れという事になりました。翌朝《よくちょう》早天に仇討《あだうち》に出立を致し、是より仇討は次に申上げます。

        二十一

 孝助は図らずも十九年ぶりにて実母おりゑに廻《めぐ》り逢いまして、馬喰町の下野屋と申す宿屋へ参り、互に過《すぎ》し身の上の物
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