わたくし》が十一の時に、お前のお父さんはこれ/\で死んだと話して呉れました故、私も仮令《たとえ》今は町人に成ってはいますものゝ、元は武家の子ですから、成人の後《のち》は必ずお父様の仇《あだ》を報いたいと思い詰め、屋敷奉公をして剣術を覚えたいと思っていましたに、縁有って昨年の三月五日、牛込軽子坂に住む飯島平左衞門とおっしゃる、お広敷番《ひろしきばん》の頭をお勤めになる旗下屋敷に奉公|住《ずみ》を致した所、其の主人が私をば我子《わがこ》のように可愛がってくれましたゆえ、私も身の上を明《あか》し、親の敵《かたき》が討ちたいから、何《ど》うか剣術を教えて下さいと頼みましたれば、殿様は御番疲れのお厭《いと》いもなく、夜《よ》までかけて御剣術を仕込んで下されました故、思いがけなく免許を取るまでになりました」
りゑ「おやそう、フウンー」
孝「すると其の家《うち》にお國と申す召使がありました、これは水道端の三宅のお嬢様が殿様へ御縁組になる時に、奥様に附いて来た女でございますが、其の後《ご》奥様がお逝《かく》れになりましたものですから、此のお國にお手がつき、お妾となりました所、隣家《となり》の旗下《はた
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