に云い付けて何か精進物を拵《こしら》えさせ、成るたけ金のいらんように、手は掛るが皆|此方《こちら》でやって置くが、一ヶ|寺《じ》の住職を頼んで置きますが、お前ナア余り早く来ると此方で困るから、昼飯《ひるはん》でも喰ってからそろそろ出掛け、夕飯《ゆうはん》は此方で喰う気で来なさい、そしてお前は是から水道端の方へ行《ゆ》きなさろうが、お前を待っている人がたんとある、又お前は悦び事か何か目出度《めでた》い事があるから早う行って顔を見せてやんなさい」
孝「へい、私《わたくし》は水道端へ参りまするが、貴僧《あなた》は何《ど》うしてそれを御存じ、不思議な事でございます」
と云いながら、
「左様ならば明日《あした》昼飯を仕舞いまして又出ますから、何分宜しくお願い申しまする、御機嫌よろしゅう」
と寺を出ましたが、心の内に思うよう、何うも不思議な和尚様だ、何うして私《わたし》が水道端へ行《ゆ》く事を知っているだろうか、本当に占者《うらないしゃ》のような人だと云いながら、水道端なる相川新五兵衞方へ参りましたが、孝助は養子に成って間もなく旅へ出立し、一年ぶりにて立帰りました事ゆえ、少しは遠慮いたし、台所
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