取上げて見れば金千|疋《びき》。
源「これは二両二分、イヤサ御主人、二両二分で越後まで足弱《あしよわ》を連れて行《ゆ》かれると思いなさるか、御親切|序《つい》でにもそっとお恵みが願いたい」
伴「千疋では少ないと仰しゃるなら、幾許《いくら》上げたら宜《よ》いのでございます」
源「どうか百金お恵みを願いたい」
伴「一本え、冗談言っちゃアいけねえ、薪《まき》かなんぞじゃアあるめえし、一本の二本のと転がっちゃアいねえよ、旦那え、こういう事《こた》ア一|体《たえ》此方《こっち》で上げる心持|次第《しでい》のもので、幾許《いくら》かくらと限られるものじゃアねえと思いやす、百両くれろと云われちゃア上げられねえ、又道中もしようで限《きり》のないもの、千両も持って出て足りずに内へ取りによこす者もあり、四百の銭《ぜに》で伊勢参宮をする者もあり、二分の金を持って金毘羅参《こんぴらまい》りをしたと云う話もあるから、旅はどうとも仕様によるものだから、そんな事を云ったって出来はしません、誠に商人《あきんど》なぞは遊んだ金は無いもので、表店《おもてだな》を立派に張って居ても内々《ない/\》は一両の銭に困る事もあるも
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