召上がらねえが、お茶とお菓子と持って来て置け、先生|此方《こっち》へお出《い》でなせえ、こゝが女部屋で」
志「左様か、マア暑いから羽織を脱ごうよ」
伴「おますや、お医者様が入《いら》っしゃったからよく診《み》ていたゞきな、気を確《しっ》かりしていろ、変な事をいうな」
志「どう云う御様子、どんな塩梅《あんばい》で」
と云いながら側へ近寄ると、病人は重い掻巻《かいまき》を反《は》ね退《の》けて布団の上にちゃんと坐り志丈の顔をジッと見詰めている。
志「お前どう云う塩梅で、大方風がこうじて熱となったのだろう、悪寒《さむけ》でもするかえ」
ます「山本志丈さん、誠に久しくお目にかゝりませんでした」
志「これは妙だ、僕の名を呼んだぜ」
伴「こいつは妙な譫語ばッかり云っていますよ」
志「だって僕の名を知っているのが妙だ、フウンどういう様子だえ」
ます「私はね、此の貝殻骨から乳の所までズブ/\と伴藏さんに突かれた時の」
伴「これ/\何を詰らねえ事をいうんだ」
志「宜しいよ、心配したもうな、それから何《ど》うしたえ」
ます「貴方《あなた》の御存じの通り、私共夫婦は萩原新三郎様の奉公人同様に追い使われ、跣
前へ
次へ
全308ページ中223ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング