延をして、お酒を三合買って、鮭のせんばいで飲ませてやった時お前は嬉しがって、其の時何と云ったい、持つべきものは女房だと云って喜んだ事を忘れたかい」
伴「大きな声をするな、それだから己はもう彼処《あすこ》へ行かないというに」
みね「大きな声をしたっていゝよ、お前はお國さんの処《ところ》へお出《い》でよ、行ってもいゝよ、お前の方で余《あんま》り大きな事を云うじゃアないか」
と尚々《なお/\》大きな声を出すから、伴藏は
「オヤこの阿魔」
といいながら拳《こぶし》を上げて頭を打《う》つ、打たれておみねは哮《たけ》り立ち、泣声を振り立て、
みね「何を打《ぶ》ちやアがるんだ、さア百両の金をおくれ、私ゃア出て参りましょう、お前は此の栗橋から出た人だから身寄もあるだろうが、私は江戸生れで、斯《こ》んな所へ引張《ひっぱ》られて来て、身寄|親戚《たより》がないと思っていゝ気に成って、私が年を取ったもんだから女狂いなんぞはじめ、今になって見放されては喰方《くいかた》に困るから、これだけ金をおくれ、出て往《い》きますから」
伴「出て往《ゆ》くなら出て往くがいゝが、何も貴様に百両の金を遣《や》るという因縁が
前へ
次へ
全308ページ中212ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング