を百両私におくれ、これだけの身代になったのは誰のお蔭《かげ》だ、お互にこゝまでやったのじゃアないか」
伴「恵比須講の商いみたように大した事をいうな、静かにしろ」
みね「云ったっていゝよ、本当にこれまで互に跣足《はだし》になって一生懸命に働いて、萩原様の所にいる時も、私は煮焚《にたき》掃除や針仕事をし、お前は使《つかい》はやまをして駈《かけ》ずりまわり、何うやら斯うやらやっていたが、旨い酒も飲めないというから、私が内職をして、偶《たま》には買って飲ませたりなんどして、八年|以来《このかた》お前のためには大層苦労をしているんだア、それを何《なん》だえ、荒物屋の旦那だとえ、御大層らしい、私ゃア今こう成ったッても、昔の事を忘れない為に、今でもこうやって木綿物を着て夜延《よなべ》をしている位なんだ、それにまだ一昨年《おとゝし》の暮だっけ、お前が鮭《しゃけ》のせんばいでお酒を飲みてえものだというから……」
伴「静《しずか》にしろ、外聞《げえぶん》がわりいや、奉公人に聞えてもいけねえ」
みね「いゝよ私ゃア云うよ、云いますよ、それから貧乏世帯を張っていた事だから、私も一生懸命に三晩《みばん》寝ないで夜
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