は私のようなお婆さんだから、どうせ気に入る気遣《きづか》いはない、それよりは笹屋へ行ってお上《あが》りよ」
伴「そりゃア笹屋は料理屋だから何《な》んでもあるが、寝酒《ねざけ》を飲むんだから一寸《ちょいと》海苔《のり》でも焼いて持って来ねえな」
みね「肴はそれでも宜《い》いとした所が、お酌が気に入らないだろうから、笹屋へ行ってお國さんにお酌をしてお貰いよ」
伴「気障《きざ》なことを云うな、お國が何《ど》うしたんだ」
みね「おまえは何故そう隠すんだえ、隠さなくってもいゝじゃアないかえ、私が十九《つゞ》や廿《はたち》の事ならばお前の隠すも無理ではないが、こうやってお互いにとる年だから、隠しだてをされては私が誠に心持が悪いからお云いな」
伴「何をよう」
みね「お國さんの事をサ、美《い》い女だとね、年は廿七だそうだが、ちょっと見ると廿二三にしか見えない位な美い娘《こ》で、私も惚々《ほれ/″\》するくらいだから、ありゃア惚れてもいゝよ」
伴「何《なん》だかさっぱり分らねえ、今日昼間馬方の久藏が来《き》やアしなかったか」
みね「いゝえ来やアしないよ」
伴「おれも此の節は拠《よんどこ》ろない用で時々|
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