《たまつばき》八千代《やちよ》までと思い思った夫婦|中《なか》、初めての語らい、誠にお目出たいお話でございます。翌日《あした》になると、暗いうちから孝助は支度をいたし、
相「これ/\婆アや、支度は出来たかえ、御膳を上げたか、湯気は立ったかえ、善藏に板橋まで送らせて遣《や》る積りだから、荷物は玄関の敷台《しきだい》まで出して置きな、孝助殿御膳を上《あが》れ」
孝「お父様《とっさま》御機嫌よろしゅう、長い旅ですからつど/\書面を上《あげ》る訳にも参りません、唯《たゞ》心配になるのはお父様のお身体、どうか私《わたくし》が本懐を遂げ帰宅致すまで御丈夫にお出《い》であそばせよ、敵《かたき》の首を提《さ》げてお目に掛け、お悦びのお顔が見とうございます」
相「お前も随分身体を大事にして下さい、どうか立派に出立して下さい、種々《いろ/\》と云いたい事もあるが、キョト/\して云えないから何も云いません、娘|何《な》んで袖を引張《ひっぱ》るのだ」
徳「お父様、旦那様は今日お立ちになりましたら、いつ頃お帰宅になるのでございますのでしょう」
相「まだ分らぬ事をいう、いつまでも少《ちい》さい子供のような気でいち
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