「成程目出たい、宜《い》いかえ頼むよ」
婆「旦那様、お嬢様お休み遊ばせ」
 と云っても、孝助はお國源次郎の跡を追い掛け、兎《と》や斯《こ》うと種々《いろ/\》心配などして腕こまねき、床の上に坐り込んでいるから、お徳も寝るわけにもいかず坐っているから、
婆「左様なれば旦那様御機嫌様宜しく、お嬢様先程申しました事は宜しゅうございますか」
徳「貴方少しお静まり遊ばせな」
孝「私は少し考え事がありますから、あなたお構いなくお先へお休みなすって下さいまし」
徳「婆《ばあ》やア一寸《ちょっと》来ておくれ」
婆「ハイ、何《なん》でございます」
徳「旦那様がお休みなさらなくって」
 と云いさして口ごもる。
婆「貴方お静まりあそばせ、それではお嬢様がお休みなさる事が出来ませんよ」
孝「只今寝ます、どうかお構いなく」
婆「誠にどうもお堅過《かたすぎ》でお気が詰りましょう、御機嫌様よろしゅう」
徳「あなた少しお横におなり遊ばしまし」
孝「どうかお先へお休みなさい」
徳「婆やア」
婆「困りますねえ、あなた少しお休みあそばせ」
徳「婆やア」
 とのべつに呼んでいるから孝助も気の毒に思い、横になって枕をつけ、玉椿
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