は抜足《ぬきあし》して萩原の裏手へ廻り、暫《しば》らくして立帰《たちかえ》り、
みね「大層長かったね、どうしたえ」
伴「おみね、成程|手前《てめえ》の云う通り、何だかゴチャ/\話し声がするようだから覗《のぞ》いて見ると、蚊帳《かや》が吊って有って何だか分らないから、裏手の方へ廻るうちに、話し声がパッタリとやんだようだから、大方仲直りが有って幽霊と寝たのかも知れねえ」
みね「いやだよ、詰らない事をお云いでない」
 という中《うち》に夜《よ》もしら/\と明け離れましたから、
伴「おみね、夜が明けたから萩原様の所へ一緒に往って見よう」
みね「いやだよ私《わたし》ゃ夜が明けても怖くっていやだよ」
 というのを、
伴「マア往きねえよ」
 と打連《うちつ》れだち。
伴「おみねや、戸を明けねえ」
みね「いやだよ、何だか怖いもの」
伴「そんな事を云ったって、手前《てめえ》が毎朝戸を明けるじゃアねえか、ちょっと明けねえな」
みね「戸の間から手を入れてグッと押すと、栓張棒《しんばりぼう》が落ちるから、お前お明けよ」
伴「手前《てめえ》そんな事を云ったって、毎朝来て御膳を炊いたりするじゃアねえか、それじゃア
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