るい》は首をくゝって死ぬ者があるが、手前は武士の胤《たね》だという事だから、よも左様な死にようは致すまいな、手打になるまで屹度《きっと》待っていろ」
と云われて孝助は口惜涙《くやしなみだ》の声を慄《ふる》わせ、
孝「そんな死にようは致しません、早くお手打になすって下さいまし」
源「これ孝助お詫びを願わないか」
孝「どうしても取った覚えはない」
源「殿様は荒い言葉もお掛なすった事もなかったが大枚《だいまい》の百両の金が紛失《ふんじつ》したので、金ずくだから御尤《ごもっと》もの事だ、お隣の宮野邊の御次男様にお頼み申し、お詫言《わびごと》を願っていたゞけ」
孝「隣の次男なんぞに、たとえ舌を喰って死んでも詫言なぞは頼まねえ」
源「そんなら相川様へ願え、新五兵衞様へサ」
孝「何も失錯《しくじり》の廉《かど》がないものを、何も覚えがないのだから、あとで金の盗人《ぬすみて》が知れるに違いない、天《てん》誠《まこと》を照《てら》すというから、其の時殿様が御一言でも、あゝ孝助は可愛相《かわいそう》な事をしたと云って下されば、そればっかりが私《わたくし》への好《よ》い手向《たむけ》だ、源助どん、お前にも
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