巻ぐるみ紛失《ふんじつ》したから、御神鬮《おみくじ》の占《うらない》のと心配をしているのです、是が失《な》くなっては何うも私が殿様に済まないからお金を返しておくれよ」
孝「私《わたくし》は取った覚えはありません、どんな事が有っても覚えはありません、へい/\何ういう訳で此の胴巻が入っていたか存じません、へえ」
國「源助どん、お前は一番古く此のお屋敷にいるし、年かさも多い事だから、これは孝助どんばかりの仕業《しわざ》ではなかろう、お前と二人で心を合せてした事に違いない、源助どんお前から先へ白状しておしまい」
源「これは、私《わたくし》はどうも、これ孝助々々、どうしたんだ、己《おれ》が迷惑を受けるだろうじゃないか、私は此のお屋敷に八ヶ年も御奉公をして、殿様から正直と云われているのに年嵩《としかさ》だものだから御疑念《ごぎねん》を受ける、孝助どうしたか云わねえか」
孝「私《わたくし》は覚えはないよ」
源「覚えはないといったって、胴巻の出たのは何《ど》うしたのだ」
孝「何うして出たか私《わたくし》ゃ知らないよ、胴巻は自然《ひとりで》に出て来たのだもの」
國「自然《ひとりで》に出たと云ってすむかえ
前へ
次へ
全308ページ中132ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング