ってかゝり、供前《ともまえ》を妨《さまた》ぐるのみならず、提灯を打落《うちお》とし、印物《しるしもの》を燃《もや》しましたから、憎い奴、手打にしようと思ったが、隣《となり》づからの中間《ちゅうげん》を切るでもないと我慢をしているうちに、孝助が怒《おこ》って木刀で打散《うちゝ》らしたのだから、昨夕《ゆうべ》のは孝助は少しも悪くはない、若《も》し孝助に遺恨があるならばなぜ飯島に届けん、供先《ともさき》を妨げ怪《け》しからん事だ、相助の暇に成るは当然《あたりまえ》だ、彼《あれ》は暇を出すのが宜《よろ》しい、彼奴《あいつ》を置いては宜しくありませんとお兄《あにい》さまに申し上げな、是から田中、藤田の両家へも廻文《かいぶん》を出して、時藏、龜藏も暇を出させる積りだ」
と云い放し、孝助ばかり残る事になりましたから、源次郎も当てが外《はず》れ、挨拶も出来ない位な始末で、何《なん》ともいう事が出来ず邸《やしき》へ帰りました。
十
さて彼《か》の伴藏は今年三十八歳、女房おみねは三十五歳、互《たがい》に貧乏|世帯《じょたい》を張るも萩原新三郎のお蔭《かげ》にて、或時《あるとき》は畑
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