、それは斯《こ》うでしょう、今年一ぱい貴方《あなた》のお側で剣術を習い、免許でも取るような腕に成る積りだろう、是《こ》れは然《そ》うなくてはならない、孝助殿の思うにはなんぼ自分が怜悧《りこう》でも器量があるにした処《ところ》が、少《すけ》なくも禄《ろく》のある所へ養子にくるのだから土産《みやげ》がなくてはおかしいと云うので、免許か目録の書付《かきつけ》を握って来る気だろう、それに違いない、あゝ感服、自分を卑下《ひげ》した所が偉いねえ」
孝「殿様、私《わたくし》は一寸《ちょっと》お屋敷へ帰って参ります」
相「行《ゆ》くのは御主用《ごしゅよう》だから仕方がないが、何もないが一寸《ちょっと》御膳を上げます少し待ってお呉れ、善藏まだか、長いのう、だが孝助殿、又|直《すぐ》に帰って来るだろうが主用だから来られないかも知れないから、一寸奥の六畳へ行って徳に逢ってやっておくれ、徳が今日はお白粉《しろい》を粧《つ》けて待っていたのだから、お前に逢わないと粧けたお白粉が徒《むだ》になってしまう」
飯「そう仰しゃると孝助が間《ま》をわるがります」
相「兎に角アレサどうか一寸逢わせて」
飯「孝助あゝ仰しゃる
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