もっ》て金を貸してくれろと云った所が、釋迦《しゃか》がそれは誠に心懸《こゝろがけ》の尊《とうと》い事じゃと云って貸したのが即《すなわ》ちこのお経じゃ、又|御札《おふだ》をやるから方々《ほう/″\》へ貼《は》って置いて、幽霊の入《はい》り所《どころ》のないようにして、そしてこのお経を読みなさい」
と親切の言葉に萩原は有がたく礼を述べて立帰《たちかえ》り、白翁堂に其の事を話し、それから白翁堂も手伝って其の御札を家《うち》の四方八方へ貼り、萩原は蚊帳《かや》を吊って其の中へ入り、彼《か》の陀羅尼経を読もうとしたが中々読めない。曩謨婆※[#「言+我」、第4水準2−88−62]※[#「口+(糸+溥のつくり)」、第3水準1−15−28]帝※[#「口+(糸+溥のつくり)」、第3水準1−15−28]※[#「口+羅」、第3水準1−15−31]駄※[#「口+羅」、第3水準1−15−31]《のうぼばぎゃばていばざらだら》、婆※[#「言+我」、第4水準2−88−62]※[#「口+羅」、第3水準1−15−31]捏具灑耶《さぎゃらにりぐしゃや》、怛陀※[#「薛/子」、第3水準1−47−55]多野《たゝぎゃたや》、怛※[#「にんべん+爾」、第3水準1−14−45]也陀※[#「口+奄」、第3水準1−15−6]素噌閉《たにやたおんそろべい》、跋捺※[#「口+羅」、第3水準1−15−31]※[#「口+(糸+溥のつくり)」、第3水準1−15−28]底《ばんだらばち》。※[#「目+(離れたくさかんむり/(罘−不)/冖/目)」、74−2]※[#「言+我」、第4水準2−88−62]※[#「口+「隸」の「木」に代えて「ヒ」、74−2]阿左※[#「口+「隸」の「木」に代えて「ヒ」、74−2]阿左跛※[#「口+「隸」の「木」に代えて「ヒ」74−2]《ぼうぎゃれいあしゃれいあしゃにれい》。何《なん》だか外国人の譫語《うわごと》の様で訳がわからない。其の中《うち》上野の夜《よ》の八ツの鐘《かね》がボーンと忍《しのぶ》ヶ|岡《おか》の池に響き、向《むこう》ヶ|岡《おか》の清水の流れる音がそよ/\と聞え、山に当る秋風の音ばかりで、陰々寂寞《いん/\せきばく》世間がしんとすると、いつもに変らず根津《ねづ》の清水の下《もと》から駒下駄《こまげた》の音高くカランコロン/\とするから、新三郎は心のうちで、ソラ来たと小さくかたまり
前へ
次へ
全154ページ中44ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
三遊亭 円朝 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング