長《なげ》え間色々お世話になりますんで、なに其様《そん》な事は何うでも宜《い》いが、旦那が死んで今年で四年になるし、私も段々年を取るし、お梅ももう十七になる、来年は歳廻りが良《い》いから何様《どん》な者でも聟を取ったらよかろうと話をすると、いつでも娘が厭《いや》がる、他人様《ひとさま》から、斯ういう良《よ》い聟がありますと申込んでも厭がるもんだから、他人《ひと》が色々な事を云って困る、妙齢《としごろ》の娘が聟を取るのを厭がるには、何か理由《わけ》があるんだろう、なにそれは店の手代に粂之助という好《い》い男があるから事に依《よ》ったらあの好い男と仔細《わけ》でもありはしないか、と云いもしまいが、ひょっとして其様なことを云われた日には、世間の口にゃア戸が閉《た》てられねえ、ねえ鳶頭、と斯うお内儀さんがいうのだ、してみると何かお前さんとお嬢さまとあやしい情交《なか》にでもなっているように私《わし》の耳には聞えるんだ、宜《よ》うがすかい、それから、誠に何うもそれは御心配なことでというと、お内儀さんの仰しゃるには、粂之助も小さい時分から長く勤めて居たから、能《よ》く気心も知れて居るが、何分今|直
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