も厭だと心配をして果《はて》しがない。そこで三次郎が到頭自訴いたして、何うしても斬首《ざんしゅ》の刑に行わるべきであったのが、何ういう事か三宅へ遠島を仰付《おおせつ》けられましたが、大層|改悛《かいしゅん》の効が顕《あら》われ、後《のち》お赦《しゃ》になって、此の三次郎は兄玄道の徒弟となり、修行《しゅうぎょう》の功を積んで長安寺の後住《ごじゅう》を勤めました。此の者は穴釣三次《あなづりさんじ》と云って、其の頃下谷では名高い泥坊でござりました。又粂之助は遂に甲州屋へ貰われまして、甲州屋の跡目を相続いたし、其の後《のち》浅草仲町の富田屋という古着商《ふるぎや》から嫁を貰いましたが、此の嫁も誠に心懸けの良い婦人でござりまして、母に孝行を尽したという末お目出度いお話でござります。



底本:「圓朝全集 巻の一」近代文芸資料複刻叢書、世界文庫
   1963(昭和38)年6月10日発行
底本の親本:「圓朝全集巻の一」春陽堂
   1925(大正15)年9月3日発行
※「旧字、旧仮名で書かれた作品を、現代表記にあらためる際の作業指針」に基づいて、底本の表記をあらためました。
ただし、話芸の速記を元にした底本の特徴を残すために、繰り返し記号はそのまま用いました。
また、総ルビの底本から、振り仮名の一部を省きました。
底本中ではばらばらに用いられている、「其の」と「其」、「此の」と「此」は、それぞれ「其の」と「此の」に統一しました。
また、底本中では改行されていませんが、会話文の前後で段落をあらため、会話文の終わりを示す句読点は、受けのかぎ括弧にかえました。
入力:小林 繁雄
校正:かとうかおり
2000年5月10日公開
青空文庫作成ファイル:
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