》んで石燈籠《いしどうろう》を押倒《おしたふ》し、松《まつ》ヶ|枝《え》を折《を》るといふ騒《さわ》ぎで、先程《さきほど》から萬屋《よろづや》の主人《あるじ》は、四|畳《でふ》の囲《かこひ》へ這入《はい》り、伽羅《きやら》を焼《た》いて香《かう》を聞いて居《を》りました。弥吉《やきち》は方々《はう/″\》覗《のぞ》いたが誰《だれ》も居《ゐ》ません。ふと囲《かこひ》へ眼《め》を附《つ》け、弥「此《こ》ん中《なか》に人が居《ゐ》るだらう。と怪《け》しからん奴《やつ》で、指の先へ唾《つば》を附《つ》け、ぷつりと障子《しやうじ》へ穴を開《あ》け覗《のぞ》き見て、弥「いやア何《なに》か喰《く》つて居《ゐ》やアがる。主人「これ、誰《たれ》か来《き》たよ……誰《だれ》だ、其処《そこ》へ穴《あな》を開《あ》けたのは、怪《けし》からん人だな、張立《はりたて》の障子《しやうじ》へぽつ/\穴《あな》を開《あ》けて乱暴《らんばう》な真似《まね》をする、誰《だれ》だな、覗《のぞ》いちやアいかん、誰《だれ》だ。弥「ハヽヽ何《ど》うか怒《おこ》つてやアがる、えヘヽヽ御免《ごめん》なさい。主人「これは驚《おどろ》いた
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