[#「亞細亞は人種上に於ても」に丸傍点]、確固たる一個の形躰を爲すものにあらざるや明か也[#「確固たる一個の形躰を爲すものにあらざるや明か也」に丸傍点]。
已に人種上の形躰にあらず[#「已に人種上の形躰にあらず」に白丸傍点]。然らば則ち文明の性質に於て[#「然らば則ち文明の性質に於て」に白丸傍点]、亞細亞は一種の形躰を具ふる乎[#「亞細亞は一種の形躰を具ふる乎」に白丸傍点]。釋迦は曾て印度より起れるが故に、佛教を亞細亞文明と稱する乎。耶蘇は亞細亞の猶太より起りしが故に、基督教を亞細亞文明と稱せんとする乎。孔子が支那山東の地に起りしが故に、儒教を亞細亞文明と稱せんとする乎。齊しく幾億萬の民心を繋ぐ。何れを以つて亞細亞的なりとし、孰れを以て非亞細亞的と爲さんと欲する乎。支那的形象文字は、亞細亞に盛なるが故に、之を以て亞細亞文明なりと云ふ乎。日本、朝鮮、滿州はフヰニシヤ[#「フヰニシヤ」に二重傍線]人の發明したる聲音文字を用ゆること、英、佛、獨の文字が、聲音文字なると異ならず。象形、聲音、孰れを亞細亞的と爲さんとする乎。况んやアリヤン文明と云ひ[#「况んやアリヤン文明と云ひ」に白丸傍点]、蒙古文明と云ひ[#「蒙古文明と云ひ」に白丸傍点]、ヘブルウ[#「ヘブルウ」に傍線]文明と云ひ[#「文明と云ひ」に白丸傍点]、漫に之を區分するも[#「漫に之を區分するも」に白丸傍点]、其源流に遡れば則ち一のみ[#「其源流に遡れば則ち一のみ」に白丸傍点]、若し[#「若し」に白丸傍点]、源流に遡らずして[#「源流に遡らずして」に白丸傍点]、其の下流につきてのみ云はんとする乎[#「其の下流につきてのみ云はんとする乎」に白丸傍点]。アリヤン[#「アリヤン」に傍線]なく[#「なく」に白丸傍点]、蒙古なく[#「蒙古なく」に白丸傍点]、ヘブルウ[#「ヘブルウ」に傍線]なし[#「なし」に白丸傍点]。日本あるのみ[#「日本あるのみ」に白丸傍点]、支那あるのみ[#「支那あるのみ」に白丸傍点]、波斯あるのみ[#「波斯あるのみ」に白丸傍点]、英國あるのみ[#「英國あるのみ」に白丸傍点]、佛國あるのみ[#「佛國あるのみ」に白丸傍点]、露國あるのみ[#「露國あるのみ」に白丸傍点]、源流に遡れば天下は一のみ[#「源流に遡れば天下は一のみ」に二重丸傍点]、支流に下れば列國あるのみ[#「支流に下れば列國あるのみ」に二重丸傍
前へ 次へ
全8ページ中4ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
竹越 三叉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング