納れず」に白丸傍点]。我法律政治を受けず[#「我法律政治を受けず」に白丸傍点]。而して吾人が之に費す所は毫も少きを加ゆるを得ず[#「而して吾人が之に費す所は毫も少きを加ゆるを得ず」に白丸傍点]。之を忽にせば我に叛かんことを恐るゝが爲に之に費す所多く[#「之を忽にせば我に叛かんことを恐るゝが爲に之に費す所多く」に白丸傍点]、之に費す所多ければ[#「之に費す所多ければ」に白丸傍点]、國民其煩に堪へざらんとす[#「國民其煩に堪へざらんとす」に白丸傍点]。我先民が三韓を失して李唐の手に奪はれたるものは之が爲め也[#「我先民が三韓を失して李唐の手に奪はれたるものは之が爲め也」に白丸傍点]。我先民[#「我先民」に白丸傍点]、雄畧の資なしと雖も[#「雄畧の資なしと雖も」に白丸傍点]、若し三韓をして我官家たるに止らしめず[#「若し三韓をして我官家たるに止らしめず」に白丸傍点]、斷乎として我屬國たらしめば統御の道便利あるのみならず[#「斷乎として我屬國たらしめば統御の道便利あるのみならず」に白丸傍点]、其租税によつて其民を治む[#「其租税によつて其民を治む」に白丸傍点]、之を保つの道[#「之を保つの道」に白丸傍点]、决して難からざるべき也[#「决して難からざるべき也」に白丸傍点]。謀此に出でず[#「謀此に出でず」に白丸傍点]、之を半屬の國たらしむ[#「之を半屬の國たらしむ」に白丸傍点]、年々兵禍あつて[#「年々兵禍あつて」に白丸傍点]、一毫の租税なく[#「一毫の租税なく」に白丸傍点]、我に出師の責あるも[#「我に出師の責あるも」に白丸傍点]、統一の權なし[#「統一の權なし」に白丸傍点]、此に於てか遂に彼をして李后に屬せしむ[#「此に於てか遂に彼をして李后に屬せしむ」に白丸傍点]。吾人は我歴史に於て半屬の不利益なる經驗せり。歐洲列國の鑑戒また此の如し。遠くは英國が歐洲大陸に半屬國を有して年々其費に堪へざりしが如き、近くは英國の埃及に於て佛國と相轢るが如き、皆な半屬國保護國の徒らに其の本國を衰弱せしむるものにして[#「皆な半屬國保護國の徒らに其の本國を衰弱せしむるものにして」に二重丸傍点]、寧ろ全き領土となるか[#「寧ろ全き領土となるか」に二重丸傍点]、然らずんばそを放棄するの可なるを證明するものにあらざるはなし[#「然らずんばそを放棄するの可なるを證明するものにあらざるはなし」に二重丸傍点]。思ふに我國民は已に[#「思ふに我國民は已に」に二重丸傍点]『朝鮮に於ける勢力[#「朝鮮に於ける勢力」に二重丸傍点]』を占有するの虚榮を見て歡喜せり[#「を占有するの虚榮を見て歡喜せり」に二重丸傍点]。是より英國の[#「是より英國の」に二重丸傍点]アイルランド[#「アイルランド」に二重傍線]に於けるが如き[#「に於けるが如き」に二重丸傍点]、病苦を甞むるの時來るべし[#「病苦を甞むるの時來るべし」に二重丸傍点]、而して[#「而して」に二重丸傍点]アイルランド[#「アイルランド」に二重傍線]が[#「が」に二重丸傍点]、英國百年の政黨歴史を打破して新たに政黨の分合を作り[#「英國百年の政黨歴史を打破して新たに政黨の分合を作り」に二重丸傍点]、年々内閣更迭の原因たりしが如く[#「年々内閣更迭の原因たりしが如く」に二重丸傍点]、新政治界を攪亂する根弊[#「新政治界を攪亂する根弊」に二重丸傍点]、宿病必らずや之より來らん[#「宿病必らずや之より來らん」に二重丸傍点]。朝鮮は獨り外交の深憂大患たるのみならず、また實に内政上の大病根たらん。而して其病疾淵源する所[#「而して其病疾淵源する所」に白丸傍点]、實に朝鮮が半上[#「實に朝鮮が半上」に白丸傍点]、落下[#「落下」に白丸傍点]、歸着する所なき半保護國たるの性質にありて存ず[#「歸着する所なき半保護國たるの性質にありて存ず」に白丸傍点]。
然らば即ち朝鮮を如何せん乎。今日は之を開陳すべき機會にあらず。今日は唯だ外交内治の深憂大患を封じたる蝮蛇の卵を受けて後に欣舞するの不可なるを示めさんとするのみ。吾人の豫言の當る恐らくは十年を出でじ[#「吾人の豫言の當る恐らくは十年を出でじ」に二重丸傍点]。若しも吾人の豫言をして人の杞憂に止らしめば[#「若しも吾人の豫言をして人の杞憂に止らしめば」に二重丸傍点]是れ皇天の特恩のみ[#「是れ皇天の特恩のみ」に白丸傍点]。
[#地付き](明治二十八年四月二十三日「國民之友」)
底本:「明治文學全集 36 民友社文學集」筑摩書房
1970(昭和45)年4月30日初版第1刷発行
1983(昭和58)年10月1日初版第3刷発行
初出:「國民之友 第二百五十一號」民友社
1895(明治28)年4月23日発行
入力:kamille
校正:川山隆
2008年5月18日作成
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