丸傍点]、吾人の懷中にある蝮蛇の卵は[#「吾人の懷中にある蝮蛇の卵は」に白丸傍点]、一夜に蜉生して腹心の病となるに至らん[#「一夜に蜉生して腹心の病となるに至らん」に白丸傍点]。而して最も能く此中の消息を知るものありとせば[#「而して最も能く此中の消息を知るものありとせば」に白丸傍点]、朝鮮の政治家之を知らん[#「朝鮮の政治家之を知らん」に白丸傍点]。吾人は[#「吾人は」に白丸傍点]『朝鮮服從[#「朝鮮服從」に白丸傍点]』の虚榮に眩惑して此の深憂大患に目を閉づる能はざる也[#「の虚榮に眩惑して此の深憂大患に目を閉づる能はざる也」に白丸傍点]。
盖し、天智、秀吉時代にありては、朝鮮に於ける吾人の敵手は、唯だ一、支那あるのみ。支那勢力を一掃せば即ち足る。必しも、其他を憂へざりし也。今や然らず。歐洲列國は猶ほ比隣の如し。吾人が朝鮮に於て爭ふ所は[#「吾人が朝鮮に於て爭ふ所は」に白丸傍点]、獨り支那の勢力に止らず[#「獨り支那の勢力に止らず」に白丸傍点]。吾人は病根を一掃するにあらざれば[#「吾人は病根を一掃するにあらざれば」に白丸傍点]、終始[#「終始」に白丸傍点]、列國の勢力と相競爭するの位置に立つを忘るべからず[#「列國の勢力と相競爭するの位置に立つを忘るべからず」に白丸傍点]。而して、今囘の大勝利なるものは、朝鮮に於ける支那の勢力を一掃したるのみ。苟も[#「苟も」に二重丸傍点]、他の勢力の存ずる以上は[#「他の勢力の存ずる以上は」に二重丸傍点]、朝鮮が獨立の名實を有する以上は[#「朝鮮が獨立の名實を有する以上は」に二重丸傍点]、他の勢力が活動すべき機會ある以上は[#「他の勢力が活動すべき機會ある以上は」に二重丸傍点]、第二の支那を[#「第二の支那を」に二重丸傍点]、朝鮮に生ずるは到底[#「朝鮮に生ずるは到底」に二重丸傍点]、避くべからざる事たるを覺悟せざるべからず[#「避くべからざる事たるを覺悟せざるべからず」に二重丸傍点]。知らず誰か是れ第二の支那たる者ぞ[#「知らず誰か是れ第二の支那たる者ぞ」に二重丸傍点]。
朝鮮に於ける第二の支那たる者の誰たるに係らず、列國の進んで乘ずるのみにあらず、朝鮮政治家は、何時にても門を開きて之を歡迎するの性情を有するものなるを忘るべからず。人或は閔泳駿等が支那の勢力に阿附したるを責めて、兇逆と爲すと雖も、事大主義は其國民の性情なるを
前へ 次へ
全8ページ中2ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
竹越 三叉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング