かすみもにほふよしのゝ山
群雁
治れる御代のしるしと大君の
みいけの雁の数もしられず
船中月
棹さしてうたふ声さへすみにけり
つきになるとの浦の舟人
更衣 (八十九歳時代)
人並にぬきかへぬれと老の身の
またはたさむき夏衣かな
夜蛙
せとちかき苗代小田にかけやとす
月のうへにもなく蛙かな
埋火
桜炭さしそへにけりをもふとち
はなのまとひに春こゝちして
池鴛鴦 (九十二歳時代)
山かけの池の水さえ浅かれと
ことしも来鳴をしの声かな
寒雁啼
露霜のふかき汀の蘆のはに
こゑもしをれて雁そ啼なる
春木 (九十三歳時代)
しはしこそ梅をくれけれ春来ても
いつかさくらと人にまたれつ
夏獣
重荷おひてゆきゝ隙なき牛車
なつのあつさに舌もこかれつ
友獣
をく山の青葉をつたふ木のは猿
つはさなき身も枝うつりして
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