行燈の、薄黄色い光りで向うを見ますと、妾は自分の眼を疑わずにはおられませんでした。妾の寝台《ねだい》の上には、妾の寝巻を着た、妾そっくりの女が、平然《ふだん》妾がする通りに髪毛《かみ》を寝台の左右に垂らして、スヤスヤと睡っているでは御座いませんか……ハッと驚いて自分の着物を探って見ますと、どうでしょう。妾の着物はいつの間にか、奇妙な男の着物とかわっていたので御座います」
「貴女そっくりの女。そうして貴女は男の着物……」
 と青眼先生は魘《おび》えたような声で申しました。

     二十三 自分の寝姿

 外に立っている紅木大臣も、この時両方の拳《て》も砕けよと握り締めましたが、女王も亦《また》恐ろしくて堪《たま》らぬように、身を震わして答えました――
「ハイ。昨日《きのう》海の女王と名乗って、お眼見得に来た時の姿と同じ男の着物でした」
「してそれから貴女《あなた》はどうなされましたか」
「妾はあまりの不思議に身動き一つ出来ず、自分の寝姿を見詰めていました。そしてその中《うち》にどちらが妾なのかわからなくなりました。妾が美紅《みべに》か、向うが美紅か。妾が美紅ならばあの眠っているのは誰
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