おりました。そうして西の国の女は、夕陽のように輝やく緋色《ひいろ》の肩掛けを床まで波打たせておりました。この四人は皆四つの国々の中で、一等利口な一等美しいお姫様でしたが、併し他の二人の美しさに比べますと、まるでお月様と亀如《すっぽん》程違っておりました。
 他の二人は濃紅《こべに》姫と美留藻《みるも》でした。
 濃紅姫は、最前家を出た時の通り白い着物の上に黒狐の外套を重ねて黄薔薇の花籠を手に持っていましたが、その何となく悲し気な気高い優しい姿は、他《た》の四人の女達と一所に置くのも勿体ない位に思われました。けれども今一人はこれと違って、大きな金剛石《ダイヤモンド》の鈕《ぼたん》を着けた紫色の男の服に華奢《きゃしゃ》な銀作りの剣を吊るして、頭《かしら》に冠《かむ》った紫色の帽子には白鳥の羽根を只一本|挿《さ》していました。そうしてどうした訳か、その上衣の上から第一番目の鈕は他《た》の金剛石《ダイヤモンド》と違って一輪の大きな白薔薇を付けていましたが、それが又誠によく似合って、眩《まぶ》しい位|凜々《りり》しく華やかに見えました。
 この珍らしいお目見得の式を見に来ていた国々の貴い人々は、
前へ 次へ
全222ページ中172ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
杉山 萠円 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング