を無理に引き取って、その手をぐんぐん引きながら表へ出まして、用意の出来ている白馬三頭立ての花で飾った馬車へ乗せると、直ぐに馭者《ぎょしゃ》に向って――
「さ。一時も早く王宮へ行け。濃紅。驚く事はない。訳はあとでわかる。それより早く王宮へ行け。お前は紅木公爵の娘だ。決して意久地のない顔をするな。悲しい顔をするな」
と叫びました。
馭者は心得て鞭を挙げて敬礼をしながら、手綱《たづな》を取ってしゃくりますと、馬車は忽ち王宮の方へと走り出しました。
その時狂気のようになったお母様が駈け付けまして――
「あれ、濃紅姫。行ってはいけない」
と追い縋《すが》ろうとしました。馬車の窓からも濃紅姫が顔を出して――
「お父様。お母様」
と叫びましたが、お母様の方を紅木大臣が抱き留《と》める……濃紅姫の方は三匹の白馬に引かれて見る見るうちに遠く遠く小さくなって、間もなく馬車のあとから湧き上る砂煙のために隠されてしまいました。
紅木大臣はいつの間にか気絶している公爵夫人をあとから駈け付けた女中に介抱させて、夫人の室《へや》に連れて行かせましたが、自身は只一人|紅矢《べにや》の室《へや》に這入って行
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